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アラーキーの写真は愛に満ちあふれていた [デジカメ]

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なんか写真展やってないかなぁ…とネットを眺めていたらCAMK(熊本市現代美術館)で 荒木経惟(のぶよし)氏の写真展をやっているのを思い出した。
私の頭の中では「アラーキー」→「アナーキー」→「下品なエロス」というイメージがあって、どうも食わず嫌いなところがあった。
写真集などは持っておらず、数点のエロスな写真を雑誌で見た程度。
この写真展も11月1日の開催時は知っていたけれども、いつの間にか忘れてしまっていました。
■センチメンタルな旅・冬の旅 1971-1990年
列車の座席で虚ろげな表情の妻・陽子さんが私の母親に似ていたので一気に引き込まれました。新婚旅行から妻の死後、数日間までの写真。
この最初の展示で家族を持つ事の幸福感や亡き妻への心情を飼い猫の様子で表現するアラーキーの繊細な一面を発見しました。

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[通町筋 D70s+17-70mm]

■「食事」 1993年、「小説ソウル」2001年
カラーで一気に展示されていた食べかけの食材。
食事メニューの写真は私も時々撮りますが、綺麗に、美味しそうに撮るという概念を破壊してくれます。
人間というのはなんとグロいものを食べて生きているんだろう!
こんなものを食べなければ生きて行けない生き物の宿命…
雑誌に載せる数点の写真では絶対に伝わらない集合体としての写真の力(Power)を感じました。

■東京夏物語(クルマド) 2003年
車窓から撮った写真なので「クルマド」。
おそらくコンパクトカメラで撮ったのでしょう。デカイ一眼ではなかなか撮れない他人様のリラックスした表情。
写真を撮る時に傾かないように、あるいは45度くらいに傾けて… などという事はあまり意識されておらず、むしろ殆どの写真が少し右上に傾いていました。
ここで見せるべきものは人の表情なので、傾きなんてまったく気になりません。

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[くまもと市電 D70s+17-70mm]

■Life by Leica 1991-1999年
東京夏物語との違いが一目で分かるライカの写真の数々。
ライカって描写は良いけれど「高価」なイメージがありますが、一眼の描写をコンパクトなボディで実現出来る事に価値があるんでしょうねぇ…
いや、こればっかりは持ってみないと分かりません。

■日記 2003-2008年
(省略)
■ポラロイド
いわゆる「アラーキー」のアナーキー具合が炸裂した5400枚のポラロイド写真。
18歳未満鑑賞禁止の張り紙有り(笑)
いや、もはやエロはネットの方が凄い。
ネット以前にこういう写真を発表したところが凄いんだろうなぁ。
感想は「荒木さん、えらくモテますね〜」
所々にある飼い猫の写真がいい味出してます。

■アラキネマ
(省略)

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[超低床電車 D70s+17-70mm]

■花 1991-2005年
■色淫花 2008年
全紙(いや、もっと大きかったかな?)の花の数々を見た時、「やっぱアラーキーは天才だわ」と思いました。
これは言葉では言いつくせない。
雑誌や写真集でも伝わらないかもしれない。
展覧会ならではの感動。

■さっちんとマー坊 1962年
大学生の頃に撮った写真。原点。

■富山ノ女性 2000年
0歳児から104歳までの女の一生。全員別人で年齢順に並べた顔写真100枚。
大人びた小学生、子供のような笑顔の婆ちゃん。
人間の歳って年齢だけでは計れないな…

■家族 2002-2004年
(省略)
■母子像 2008年
熊本市現代美術館のスタジオで本展の為に撮影された(主に熊本の)お母さんに抱っこされた赤ちゃんの写真。

まずは作品の下に掲示されているお母さんの文章を読みながら1周。
「お母さんって、強いなぁ… 特に九州の…(笑)」
だって、いくらアラーキーが撮影するとはいえ普段見せない裸を、しかも出産で痛んだ我が身を晒すわけでしょぉ?
でも、高齢出産や遅産(って言うのかな?)でやっと生まれてきた我が子との幸せの絶頂を残したいという気持ちはすごく伝わってくる。

次に、少し離れた位置から2周目。
母親の胸元で安心しきった赤ん坊の穏やかな表情…
全然泣き止まない赤ん坊…
いとおしい我が子を抱く母親の笑顔や強さ…
その一点、一点に撮影前までの物語があって、将来赤ちゃんがこの写真を見た時の想いを想像すると胸がじーんと熱くなってきた。

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[館内にて D70s+17-70mm]

芸術的ヌードって、今まで全然理解出来ていなかったけれども、こういう分かり易い写真を見ていると、洋服や化粧など、余計な情報が一切存在しない人間のストレートな感情が一番伝わってくるんだな〜と思いました。
世の父ちゃん達は是非、家庭で親子ヌード写真を撮る事をお勧めする。
いや別に全裸でなくてもいい、安いコンデジでも構わない、授乳しているシーンとか、風呂場のシーンとか、子供の反抗期が終わった頃に、こういう写真をふと見た時の子の気持ち… ああっ

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[熊本城前 D70s+17-70mm]

やっぱり写真展っていいなぁ。
1点の写真の美しさも素晴らしいけれど、アルバムとしての写真の集合体って、どんなにへたくそな写真でもストーリーがある。力がある。

blogの写真やなんかでも、区切りの良い時に1冊の本にする事によって、何か感じるものがあるかもしれませんね。
少なくともその時期に自分が感じた写真や文章なんだし、将来は恐らくかけがえの無いものになっているかもしれません。

写真展は2月15日までです。
個人的には18歳未満の方にこそ見て頂きたいです。

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コメント 4

坊主頭

うーん
恥ずかしい事に、写真展って経験ナッシングです
今度、調べて行って見ようかな?
by 坊主頭 (2009-02-02 20:00) 

bird

私はどちらかというと鑑賞する方が好きなのかもしれませんね。
特にサークルにも入ってなくて一人で好き勝手に撮っているので、写真展は貴重な先生です。
by bird (2009-02-02 21:39) 

ヨンタロー♀

アラーキー、いいっす!
私はずっと前から好きでした。
写真展は一度くらいしか行けていないですが、
エロ=生⇔死
を感じる写真がたまらんです。
by ヨンタロー♀ (2009-02-08 09:05) 

bird

★ヨンタロー♀さん
えっ、これは意外!
だってわんちゃんブログの内容からはまったく想像がつかないんだもーん(笑)
そういえば“快活なかあちゃん”ってイメージはあるなぁ…
え? え?
(ノ≧∇≦)ノ<炎炎炎炎炎炎炎炎(/≧■≦)/グワァァ炎炎炎

by bird (2009-02-08 12:16) 

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